記事一覧

収入と支出、収益と費用

4回目「収益と費用、資産と負債と資本」で「収益」と「費用」についてご説明しました。
それと似た言葉に「収入」と「支出」というものがあります。
簿記ではこの違いは明確なので混同しないようにしてください。
なお、収益・費用をあわせて「損益」、収入と支出をあわせて「収支」と呼びます。

「収益」と「費用」が価値の増減を意味するのに対し、「収入」と「支出」は現金の増減を意味します。
例えば、1000円の食事をして現金で支払った場合、1000円の支出が発生すると同時に、1000円分の価値を失ったので1000円の費用も発生しています。
仕訳で表すと下記の通りです。

(借)食費 1000円 (貸)現金 1000円

この場合は価値の増減と現金の増減が一致しています。
しかし、来月返してもらう約束で友達に1000円貸した場合、1000円の支出は生じていますが、費用は発生していません。
なぜなら来月返してもらうということは、友達に対する請求権を有していることになり、現金が請求権に入れ替わっただけで価値は失われていないからです。
仕訳で表すと下記の通りになります。

(借)未収金 1000円 (貸)現金 1000円
※未収金ではなく貸付金とすることも考えられます。

これは支出が生じても費用は生じていないケースですが、逆も考えられます。
カードで1000円の食事をした場合、食費という費用が発生していますが、現金はなくなっておらず、支出は生じていません。
これも仕訳で表すと下記の通りです。

(借)食費 1000円 (貸)未払金 1000円
※クレジットはカード会社からの借金なので、未払金ではなく借入金とすることも考えられます。

収益と収入も同様の発想です。
このように損益と収支は異なる概念であり、簿記では特に損益が重視されます。
家計簿でどちらを重視するかは家計簿をどのような目的でつけるかによります。
毎月の収入の範囲内でやり繰りしなくてはいけないような場合には現金の動きが重要であり、この場合は現金の増減や残高を管理する家計簿をつけるのがいいでしょう。
一方、家計の収益性、分かりやすく言えば収入と支出のバランスが適切かどうか、稼ぎに対して今の生活パターンは相応なものかどうか、といったことを管理したい場合は損益をベースに管理することが望ましいでしょう。
ここで、損益の管理と言ってるのに「収入と支出のバランス」と収支の話が出てくるのはなぜでしょうか。
これは、損益の管理と言っても、結局のところは現金に繋がってくるものだからです。
損益と現金の増減は、いつ生じたかと考えるタイミングが異なるものですが、タイミングが違うだけで最終的には一致するものなのです。
例えば、友達にお金を貸して、翌月返ってくるという場合、上で述べた通り損益は生じません。
一方、収支も、今月は△1000円ですが、翌月は+1000円となり、通算ではプラマイゼロで、損益が生じないことと同じ結果になります。
カードで買い物をして来月決済される場合、損益は今月に△1000円となります。
これに対して収支は、今月は発生せず来月△1000円となり、結局通算では△1000円と一致します。
損益と収支はこのように最終的には一致し、どちらも現金の増減を示すものなのです。
ただ、いつ増減が生じたと考えるか(簿記では増減が生じたと考えることを「認識する」と表現します)が異なってくるだけなのです。
そして、損益の管理では、この増減を現金の増減ではなく価値の増減が生じた時に認識するのです。

では、なぜ価値の増減が生じた時に認識することが収入と支出のバランスを管理することになるのでしょう。
例えば、今月1000円の食事をカードで支払い、来月は1000円の食事を現金で支払ったとします。
そうすると、収支は今月0円、来月は△2000円となります。
一方、損益は今月△1000円、来月△1000円となります。
この状態を「今月は食費があまりかからなかった、来月は食費がたくさんかかった」と言うのはちょっと違う気がしませんか?
正しくは「今月はカードを使ったので現金があまり減らなかった、来月はカードの決済があったので現金がたくさん減った」ですね。
収支を管理するか、損益を管理するかというのはこのような違いがあるのです。

なお、現金の増減を管理すると言っていますが、ここで言う現金は財布の中の現金だけでなく、預金や電子マネーも含めるのが一般的です。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

PR

プロフィール

mgm.shg

Author:mgm.shg
企業会計より家計簿が好きな公認会計士です。複式家計簿というAndroidアプリを作ってます。

よくある質問はこちら

Twitterもやってます。よかったらフォローしてください。
@fukushiki2014

カウンター