減価償却とは
- 2016/11/07
- 18:32
複式簿記の特徴的な処理に「減価償却」というものがあります。
これは、長期間にわたって使うことのできる資産(固定資産と言います)の原価(購入代金)を、使うことのできる期間に按分する手続となります。
なお、長期間にわたって使うことのできる資産を、資産に計上するのではなく買った時点で費用とする方法も、家計管理上は適切な方法ですが、ここでは固定資産とした場合の処理の考え方を説明しますので、そのような方法については取り扱いません。
それでは、固定資産を購入した時の処理を具体例を挙げて説明します。
「お金を払って10万円のテレビを買った」という取引を仕訳で表すと以下の通りとなります。
(借)テレビ 100,000 (貸)お金 100,000
お金が減り、テレビという資産が増えたことを表しています。
資産は貸借対照表に表示されますが、何も処理しないと何十年でもそのまま貸借対照表に載り続けることになります。
いずれ壊れて捨ててしまった後もそのまま貸借対照表に残っているのはおかしいので、どこかのタイミングでは貸借対照表から消す処理が必要になります。
そのタイミングとして、まずは捨てる時に貸借対照表から消すということが考えられます。
テレビがあるうちは貸借対照表に表示し、捨てて無くなったら消す、自然な考え方ですね。
その場合、借方の資産を消すので、今度は貸方に資産が来ます。
では借方は何が来るでしょう?
テレビを捨てても代わりに何かもらえるわけではないので、単に資産が減るだけで、この場合は貸方には費用が計上されます。
仕訳にするとこのようになります。
(借)テレビ廃棄損 100,000 (貸)テレビ 100,000
名前は何でもいいのですが、とりあえずテレビ廃棄損としました。
買ったら資産、使っている間は何もせず、捨てたら費用になる。
これはこれで間違ってはいません。
でも、それって実態を正しく表していると言えるでしょうか。
テレビを買うためにお金を払うというのは、テレビという物を手に入れたいから払うのではなく、テレビを見たいから払うものです。
そうであるならば、テレビが無くなったら費用にする、ではなく、テレビを見たら費用にする、とした方が実態に合っているかもしれません。
テレビをレンタルして見ると1ヶ月いくらという風にお金がかかりますが、テレビの購入代金はこれを何年分も前払いしたと考えるということになります。
それではテレビを見るのにかかる費用というのはいくらなのでしょうか?
ネットでテレビのレンタル代を調べてみたら、色々ありますが、例えば1ヶ月1万円というのがありました。
家で見るのもこれくらいとみなすとすると、毎月以下の仕訳を計上することにすることが考えられます。
(借)テレビ視聴料 10,000 (貸)テレビ 10,000
そうすると毎月少しずつテレビは減っていって、いずれ0円になり、貸借対照表から消えることになります。
でも、これだと10万円のテレビは10ヶ月で0円になってしまいますね。
さすがに10ヶ月は買ったテレビを見れる期間としては短すぎるので、1万円は金額として少し大き過ぎるようです。
では、いくらくらいが妥当でしょうか?
テレビを見るごとに費用にしていき、最終的に0円になったところでちょうど捨てる時期になるようになれば、一番うまくに処理できそうな気がします。
そうすると
テレビの購入代金 ÷ テレビを見ることのできる月数
の金額が1ヶ月当たりのテレビの視聴料として望ましいと言えそうです。
テレビの購入代金が10万円として、テレビを見ることができるのが10年とすると、1年で1万円、1ヶ月ではだいたい830円ということになりま す。
よって、毎月以下の仕訳を計上することにしましょう。
(借)テレビ視聴料 830 (貸)テレビ 830
これが「減価償却」の考え方です。
何年使うかは事前にはなかなかわからないところではあるのですが、「だいたいこんなもんかな」という感じで決めるということで いいと思います。
多少違っても、最後に一発で費用にするよりはよっぽど正確です。
なお、減価償却する時の費用として、一般的には「減価償却費」という名前が使われます。
科目の名前は自由なのでこれを使っていただいても全然問題はないのですが、私の経験上、減価償却費とするとテレビも車も家もすべて減価償却費になってしまって、家計を管理する上ではちょっと管理し辛いことになります。
なので、上記の「テレビ視聴料」のように内容ごとに分けて、さらにそれを娯楽費の補助科目とすることで、娯楽費の一部とした方がいいかなと思っています。
お金の支出を伴わない費用なので、その他の支出を伴う費用と一緒にしてしまうことがいいのかどうか、という話もあり難しいところではあるのですが。
あるいは科目名は減価償却費として、補助科目で何の資産か分けることで区別するということでもいいかもしれません。
また、減価償却をすることのメリットとして、上記で説明したように
・費用の計上時期をその資産を使用する時期に合わせる
ということの他に、
・減価償却が終わった時には買い替えのための資金が貯まっている(これを「自己金融効果」と言います。)
ということがあります。
具体例を挙げて説明します。
10万円のテレビを買って、10年間で減価償却するとします。
そうすると毎年1万円を費用として計上することになります。
今、毎年の収入が500万円であるとして、毎年家計をやりくりして何とか損益計算書上の利益が赤字にならないようにしたとすると、損益計算書は以 下のようになります。
収益 500万円
費用 500万円(うち、減価償却費1万円、その他の支出499万円)
利益 0円
収益と収入、費用と支出の違いが分からなくなってしまったら簿記の基礎を確認してください。
ここでは、収入500万円とあるので、収益はすべて実際にその金額だけお金が増加します。
一方、費用については、減価償却費を計上した上で利益が0円となったので、実際にお金が減少する支出は499万円となります。
とすると、お金については
収入 500万円
支出 499万円
差引 +1万円
となり、毎年1万円が残ることになります。
これを10年間続けると、10年間で10万円が残ることになり、10年後にテレビを捨てる時には次のテレビを10万円で購入できるようになるのです。
あくまでも損益計算書上の利益と比べて減価償却費分のお金が残る、という話であり、収入と支出がトントンという生活をしてしまうと(利益としては1万円の赤字)、お金は残りませんので、損益計算書で黒字を目指していただくということが大前提とはなります。
しかし、黒字を続けさえすれば生活のため の大きな支出も無理せず準備できるようになる、というのは家計管理のひとつの方法として効果的ではないかと思います。
これは、長期間にわたって使うことのできる資産(固定資産と言います)の原価(購入代金)を、使うことのできる期間に按分する手続となります。
なお、長期間にわたって使うことのできる資産を、資産に計上するのではなく買った時点で費用とする方法も、家計管理上は適切な方法ですが、ここでは固定資産とした場合の処理の考え方を説明しますので、そのような方法については取り扱いません。
それでは、固定資産を購入した時の処理を具体例を挙げて説明します。
「お金を払って10万円のテレビを買った」という取引を仕訳で表すと以下の通りとなります。
(借)テレビ 100,000 (貸)お金 100,000
お金が減り、テレビという資産が増えたことを表しています。
資産は貸借対照表に表示されますが、何も処理しないと何十年でもそのまま貸借対照表に載り続けることになります。
いずれ壊れて捨ててしまった後もそのまま貸借対照表に残っているのはおかしいので、どこかのタイミングでは貸借対照表から消す処理が必要になります。
そのタイミングとして、まずは捨てる時に貸借対照表から消すということが考えられます。
テレビがあるうちは貸借対照表に表示し、捨てて無くなったら消す、自然な考え方ですね。
その場合、借方の資産を消すので、今度は貸方に資産が来ます。
では借方は何が来るでしょう?
テレビを捨てても代わりに何かもらえるわけではないので、単に資産が減るだけで、この場合は貸方には費用が計上されます。
仕訳にするとこのようになります。
(借)テレビ廃棄損 100,000 (貸)テレビ 100,000
名前は何でもいいのですが、とりあえずテレビ廃棄損としました。
買ったら資産、使っている間は何もせず、捨てたら費用になる。
これはこれで間違ってはいません。
でも、それって実態を正しく表していると言えるでしょうか。
テレビを買うためにお金を払うというのは、テレビという物を手に入れたいから払うのではなく、テレビを見たいから払うものです。
そうであるならば、テレビが無くなったら費用にする、ではなく、テレビを見たら費用にする、とした方が実態に合っているかもしれません。
テレビをレンタルして見ると1ヶ月いくらという風にお金がかかりますが、テレビの購入代金はこれを何年分も前払いしたと考えるということになります。
それではテレビを見るのにかかる費用というのはいくらなのでしょうか?
ネットでテレビのレンタル代を調べてみたら、色々ありますが、例えば1ヶ月1万円というのがありました。
家で見るのもこれくらいとみなすとすると、毎月以下の仕訳を計上することにすることが考えられます。
(借)テレビ視聴料 10,000 (貸)テレビ 10,000
そうすると毎月少しずつテレビは減っていって、いずれ0円になり、貸借対照表から消えることになります。
でも、これだと10万円のテレビは10ヶ月で0円になってしまいますね。
さすがに10ヶ月は買ったテレビを見れる期間としては短すぎるので、1万円は金額として少し大き過ぎるようです。
では、いくらくらいが妥当でしょうか?
テレビを見るごとに費用にしていき、最終的に0円になったところでちょうど捨てる時期になるようになれば、一番うまくに処理できそうな気がします。
そうすると
テレビの購入代金 ÷ テレビを見ることのできる月数
の金額が1ヶ月当たりのテレビの視聴料として望ましいと言えそうです。
テレビの購入代金が10万円として、テレビを見ることができるのが10年とすると、1年で1万円、1ヶ月ではだいたい830円ということになりま す。
よって、毎月以下の仕訳を計上することにしましょう。
(借)テレビ視聴料 830 (貸)テレビ 830
これが「減価償却」の考え方です。
何年使うかは事前にはなかなかわからないところではあるのですが、「だいたいこんなもんかな」という感じで決めるということで いいと思います。
多少違っても、最後に一発で費用にするよりはよっぽど正確です。
なお、減価償却する時の費用として、一般的には「減価償却費」という名前が使われます。
科目の名前は自由なのでこれを使っていただいても全然問題はないのですが、私の経験上、減価償却費とするとテレビも車も家もすべて減価償却費になってしまって、家計を管理する上ではちょっと管理し辛いことになります。
なので、上記の「テレビ視聴料」のように内容ごとに分けて、さらにそれを娯楽費の補助科目とすることで、娯楽費の一部とした方がいいかなと思っています。
お金の支出を伴わない費用なので、その他の支出を伴う費用と一緒にしてしまうことがいいのかどうか、という話もあり難しいところではあるのですが。
あるいは科目名は減価償却費として、補助科目で何の資産か分けることで区別するということでもいいかもしれません。
また、減価償却をすることのメリットとして、上記で説明したように
・費用の計上時期をその資産を使用する時期に合わせる
ということの他に、
・減価償却が終わった時には買い替えのための資金が貯まっている(これを「自己金融効果」と言います。)
ということがあります。
具体例を挙げて説明します。
10万円のテレビを買って、10年間で減価償却するとします。
そうすると毎年1万円を費用として計上することになります。
今、毎年の収入が500万円であるとして、毎年家計をやりくりして何とか損益計算書上の利益が赤字にならないようにしたとすると、損益計算書は以 下のようになります。
収益 500万円
費用 500万円(うち、減価償却費1万円、その他の支出499万円)
利益 0円
収益と収入、費用と支出の違いが分からなくなってしまったら簿記の基礎を確認してください。
ここでは、収入500万円とあるので、収益はすべて実際にその金額だけお金が増加します。
一方、費用については、減価償却費を計上した上で利益が0円となったので、実際にお金が減少する支出は499万円となります。
とすると、お金については
収入 500万円
支出 499万円
差引 +1万円
となり、毎年1万円が残ることになります。
これを10年間続けると、10年間で10万円が残ることになり、10年後にテレビを捨てる時には次のテレビを10万円で購入できるようになるのです。
あくまでも損益計算書上の利益と比べて減価償却費分のお金が残る、という話であり、収入と支出がトントンという生活をしてしまうと(利益としては1万円の赤字)、お金は残りませんので、損益計算書で黒字を目指していただくということが大前提とはなります。
しかし、黒字を続けさえすれば生活のため の大きな支出も無理せず準備できるようになる、というのは家計管理のひとつの方法として効果的ではないかと思います。
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